現在フリーターの皆さんは「一生フリーターって何がマズいの?」と考えたことはありませんか?
私もアルバイトで生計を立てていた20代の頃、「なぜ一生フリーターではダメなのか?アルバイトでも十分生活できているし、正社員になる意味が分からない」と考えていました。
正社員とフリーターの収入の違い
確かに20代の若い時はアルバイトも正社員も大きく変わりません。場合によっては自由な時間がとれるなど、フリーターの方が良い面もあります。
しかし生涯賃金や老後の事を踏まえると、圧倒的に正社員の方が良いのです。
正社員とフリーターの収入の違いは、実際にいくら位になるかご存知でしょうか。
厚生労働省のWEBサイトには「賃金構造基本調査結果」というものが掲載されており、その中には正社員の賃金を「100%」とした時の、正社員以外の賃金格差についてのデータがあります。
平成29年度のデータでは『20歳から24歳では約87%』『30歳から34歳では75%』『40歳から44歳では61%』にもなります。
年齢が上がれば、収入が増加する正社員に対して、フリーターは横ばいの賃金推移ですので、徐々に格差が生まれてくるのです。
上記の係数をもとに、計算してみましょう。
時給1,300円、1日8時間、20日の労働とすると。
1300×8×20=ひと月に208,000円の収入。
20〜24歳の正社員
賃金構造基本調査結果では、正社員を100%とした場合「20歳から24歳のアルバイト」は87%となっている。
上記「フリーターの場合」の労働条件を例にすると、時給1300×8×20=208000円。
この208000円が正社員に対して87%となるので、100%=239,080円。
アルバイトが208000円に対し、20〜24歳の正社員が239000円となる。
40〜44歳の正社員
正社員を100%とした場合「40歳から44歳のアルバイト」は61%
208000円が正社員に対して61%となるので、100%=340984円。
アルバイトが208000円に対し、40〜44歳の正社員が340,984円となる。
年齢が若いうちは差をあまり感じませんが、年齢を重ねると差が広がります。
昇給、賞与、残業代など
正社員の場合は基本的に昇給・賞与があり、年齢が高くなればその金額も多くなります。
また、1日8時間以上働いた場合は、割増のついた残業代が支払われます。
しかしフリーターの場合、昇給がない、賞与も金一封で数万円、8時間以上働いても割増がないことがほとんどです。
実際私が昔バイトをしていた時は、昇給、賞与、残業割増無しでした。(※残業の割増について:勤務時間で週40時間を超えなければ、割増賃金の対象になりません)
このように、正社員とフリーターでは毎月の給与に差が出てきます。
正社員とフリーターの福利厚生
体力がなくなっている中でそれは難しいでしょう。
年金での差
日本には年金制度があり、フリーターの場合は国民年金、正社員の場合は厚生年金に加入します。
具体的にもらえる年金の金額としては。
国民年金の場合:779,300円/年間
※日本年金機構 平成30年4月より、40年の全期間加入の場合のデータ。加入期間が40年に満たない場合は、上記の金額から減ります。
厚生年金の場合:1,832,352円/年額
ざっくり、計算した内容を説明すると
『報酬比例部分』は、平均標準報酬月額と、加入の月数、加入の期間により決まる。
『定額部分』は、1,625×1.000(※)×被保険者期間の月数により決まる。※昭和21年4月1日以前に生まれた方は給付乗率が異なる。
『加給年金』は、65歳時点で生計を維持している、配偶者や子がいるときに加算されます。
今回事例:標準報酬月額が40万円、加入期間が40年、独身、でざっくり計算。
比例報酬部分:1,052,352円(乗率は平成15年4月以降の掛ける率を使用)
定額部分:780,000円
加給年金:なし
とすると、1,832,352円(年額)となります。
このように老後にもらえる年金も、年額で倍以上も差が出てしまいます。
フリーターの場合は年金による収入が少ないことが予想されるため、老後も若い時と同じように働く必要が出てきます。
歳をとれば取るほど、就職が難しくなり、体力的にきつい仕事をしなければなりません。
正社員の場合、厚生年金、若い時からの貯蓄もあり、余裕のある生活が出来ます。
その他社会保険や福利厚生の違い
また正社員だけに該当する下記のような福利厚生もあります。
正社員のみの福利厚生
・生命保険など正社員向けの制度があり、特別割引の効いた保険に格安で入れることがあります。
・健康保険は、保険料の半額を会社が負担してくれます。
・厚生年金は、保険料の半額を会社が負担してくれます。また支払った金額に応じて受給金額も変わります。
・有給は、フルに勤務している正社員は最大20日、有給の付与日も法定より期間が短いこともあります。
・社員旅行などもあり、社員は会社の補助が出て安く行くことができます。
正社員は、長期的に会社に定着し、成長し、働いてもらいたいので、このような優遇があります。
社会的信用の違い
フリーターの場合だと、正社員との社会的信用の違いから制限を受けることがあります。
フリーターは制限を受ける
・ローンの金額が高価になる場合は、信用情報の調査によりローンが組めない事がある。
・結婚を考えた場合も、将来設計が立てにくい、相手の親御さんから心配されてしまいます。
・クレジットカードも、信用調査によりカードが発行されないことがあります。
クレジットカードのゴールドやプラチナはサービスがとても良いのですが、信用調査により難しい可能性があります。
・転職の場合、職歴を聴く際に、フリーターであったか、正社員であったかは判断材料の一つです。
・世間体の違いも、世の中一般的にフリーターより、正社員の方が良いと言われています。
スキル、キャリアの違い
スキルやキャリアが身につくなどの違いもあります。
フリーターの場合は、自らの意思で会社を移り色んな職種を経験する事で、スキルやキャリアアップします。
正社員の場合は、自らの意思に加え、スキル、キャリアが身につくように会社が強力に支援し育成を図ります。
将来を考え、成長の為に部署異動、マネジメントの経験を積ませます。
フリーターの方が経験できる以上のことを、5年後10年後を見据えて人材育成を図っています。
特に人事担当としては、正社員の方が能力があると判断することが多いです。
理由としては、会社として終身雇用してまで欲しいと思い、会社が採用していたからです。
安定の違い
正社員の場合、会社から解雇するのは非常に困難です。
懲戒処分や会社が傾いて危ないなど以外では、基本的に定年までずっと雇用されます。
また、病気などにかかり、長期的に会社を休むことになっても、一定期間は雇用が守られます。
ここがフリーターと正社員の安定の違いの大きな所です。
フリーターのメリット
フリーターにメリットはないのかと言われればそうではありません。
フリーターは正社員と異なり、『働く時間を選べる』『働くキャリアを選べる』『得たいスキルを選べる』などの、選択の幅が多くあります。
収入に拘らず、時間に余裕を持って、生活できれば良いと考えるのであれば、とても良いと思います。
また、実現したい夢があり、その為の時間を作りたいなどは、フリーターのメリットです。
ただし将来的に差が出てしまうのです。
一生フリーター・ニートでいた場合の末路
一生フリーターでいた場合は、生活のため一生働き続けることになります。
年金や、老後の蓄えも正社員だった人と比べても大きな差が出ます。
病気をしたら収入が途絶え不安定ですし、趣味や好きな事を楽しむ余裕は少ないでしょう。
アリとキリギリスのイソップ童話がありますが、まさにあれに似ていると思います。
人生の安定性、収入面、老後のことを考えても正社員の方が良いです。
お金がなくても、生活できる程度あれば良い、とにかく色々な経験をしたくてフリーターをしているとの考え方もあります。
しかし、長期的に老後までを見据えると、安定性、収入面、老後のことも踏まえて正社員をお勧めします。
フリーターとしてできることの多くは、正社員で働きながらすることが出来ます。
安定した働き方で、できた余裕の時間や貯蓄を使って、やりたいことに取り組んでみてはいかがでしょうか。
フリーターの場合