突然ですが、あなたは社会保険について正しく理解できていますか?
私自身30歳手前まで「正社員?」「何それ?架空の人物?」という状態でしたので、社会保険について一切分かっていませんでした。
求人票に『各種社会保険完備』と書かれていても、「各種社会保険完備しているんだな」ということしか情報を読み取れなかったのです。
正社員経験がない既卒・フリーター・無職の方は、私と同様、社会保険についていまいち理解できていないのではないでしょうか?
このまま知らなくてもなんとでもなりますし、知ったからといってモテるわけでもありませんが、就活のこの機会に一度勉強しておきましょう。
心配いりません!
勉強と言っても難しいものではありません。ポケモンのキャラを全部そらで言える貴方なら、きっと楽勝です。
今回の社会保険の解説は、企業の人事担当者の方にお話を伺いました。
この記事の内容
この記事を読み終えた後は、社会保険への理解が深まると思いますので、最後までお付き合いください。
社会保険とは何か
健康保険
一定の負担割合で医療を受けるための公的医療保険
厚生年金保険
将来に年金を受給するための保険
雇用保険
失業したときに失業給付を受けるための保険
労災保険
仕事上で病気やケガをした場合、治療費や休業中の収入を補償してくれる保険
介護保険
要介護状態になったときに、介護サービスを受けることができる保険
健康保険は医療機関が3割負担 『社会健康保険』と『国民健康保険』
病気や怪我をした時、皆さんが病院で提示している保険証がこれに当てはまります
日本国民は毎月健康保険料を支払い、健康保険に加入しています。
この保険証があることにより、病院での医療費が3割負担で済んでいるのです。
もし健康保険がなければ、全額実費となるので、風邪をひいただけでも5千円近くかかります。(※治療内容により異なる。10割負担なので約3.3倍だが、保険証なしは自由診療となり医者が自由に価格を決められる)
無職やフリーターの方が入る保険を『国民健康保険』、サラリーマンや公務員の方が入る保険を『社会健康保険』と呼んでいます。
厚生年金や介護保険などの総称も『社会保険』と呼ぶので、これがややこしくする原因ですね。
代表的な健康保険の種類『組合健保』『協会けんぽ』『共済健保』
就職先の会社が所属している協会・組合に加入することになります
組合健保
企業が、単独もしくは他の会社と共同で設立し、保険者となります。単独の場合は、700名以上の社員が在籍していることが条件で、共同の場合は、合算して3000名以上の社員が在籍していないと設立できません。
協会けんぽ
組合健保に加入しない企業のサラリーマンを対象とした健康保険で、全国健康保険協会が保険者として運営しています。
共済健保
公務員が加入する健康保険のことで、厳密には、国家公務員が対象の「国家公務員共済組合」、地方公務員が対象の「地方公務員共済組合」、私立学校の職員が対象の「私立学校教職員共済」に分けられます。
運営主体は異なりますが、いずれも加入することで、医療機関において3割負担で診療を受けることができたり、私傷病で長期的に休むことになった場合に給与の補填となる手当金を受給できたりします。
将来受け取る年金 『国民年金(基礎年金)』と『厚生年金』
国民年金保険が一律の保険料であるのに対し、厚生年金保険料は、毎月受け取る給与の額によって、保険料が変動します。
また、国民年金とのもう一つの違いとしては、本人が負担する保険料と同じ金額を会社も負担してくれています。
無職・フリーター・フリーランス
『国民年金』のみ支払っている
雇われて勤めている人
『基礎年金』を自分で支払い、同じ額の『厚生年金』を会社が払ってくれていると考える。
つまり支払う金額は同じでも、納める保険料が高くなりますので、将来、受け取る年金額は、厚生年金に加入していた方が高くなります。
フリーランスの『国民年金』を1階建て、雇われて勤めている人は『国民年金(基礎年金)』の上に『厚生年金』で2階建てとも言われていますね。
雇用保険は失業手当
雇用保険に加入していれば、失業した際、条件を満たすことで失業給付を受給することができます。
倒産など会社都合による離職の場合は、待期7日の後、給与の約6割程度を失業給付として受け取ることができます。
また、自己都合による離職であっても、給付制限が3ヶ月ありますが、その後、失業給付を受けることができます。
この失業給付は、失業中の生活保障として欠かすことができない大切な給付です。
フリーターである場合、加入手続をしてくれていない場合がありますので、給与明細で雇用保険料が徴収されているか、一度確認しておきましょう。
労災保険は仕事中の怪我を補償
労災保険は、原則として労働者を一人でも使用している会社は法律上、強制加入となります。保険料は全額会社負担であり、従業員負担はありません。
また、正社員、パートタイマー、アルバイトなど雇用形態、労働時間、収入に関係なく、その事業所で働いている従業員すべてに適用されるのも特徴です。
介護保険について
この介護保険料で、老後の不安原因である介護を社会全体で支えています。
無職時の保険と会社勤めの保険
雇用保険に加入していない場合、退職したとしても、失業給付を受けることができませんので、給与明細で雇用保険料が徴収されていないか、確認してみましょう。
厚生年金は加入年数が長ければ長いほど、将来、受け取る年金額が多くなります。
この厚生年金が、フリーター・無職と会社勤めで一番差が出る部分だといえますね。
社会保険が引かれた手取り金額の例
『健康保険』『厚生年金保険』『介護保険』の保険料については、入社時の賃金に交通費(1ヶ月あたり)を合算した金額を料率表に当てはめて、算出します。
協会けんぽ加入の場合、金額195,000~210,000の間は等級「17」に該当します。
等級「17」は「健康保険が9,900円」、「厚生年金保険が18,300円」、「介護保険が1,570円」です。(介護保険については、40才以上のみ)
次に雇用保険についてですが、料率が定められており、支給総額の3/1000となりますので、支給総額が200,000円である場合、600円となります。
つまり「健康保険9,900円」+「厚生年金保険18,300円」+「介護保険1,570円」+「雇用保険600円」の「30,370円」が社会保険料となります。
さらにここから「源泉所得税3,410円」引かれるので、「166,220円」が手取りとなります。
『社会保険完備』していない会社は絶対NG
求人票によく記載されている「各種社会保険完備」という表現ですが、ここまで紹介してきた5つの保険が完備されている意味です。
会社を設立したときや従業員を採用したときなど、会社は健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険への加入が一部の例外を除いて、法律で義務づけられています。
したがって、応募企業に確認して、完備されていない場合は、これらの義務を放棄しているわけですから、会社として問題があるといわざるを得ませんので、応募を見直すようにしましょう。
社会保険は、長く働いていく上で知っておいて損はない知識だといえます。
加入していることで、ここで紹介した以外の給付やサービスを受けることができる場合もありますので、必要があれば、会社の総務部にも相談するようにしてください。