突然ですが、脱税していませんか?
社会人として勤務経験がある方なら『年末調整』という言葉を一度くらいは耳にしたことがあるでしょう。
しかし社会経験がなくアルバイトで生計を立てている方は、あまりピンとこない方も多いと思います。
かくいう私も30歳手前までアルバイト生活をしていたのですが、『確定申告』だけは苦手でした。
この言葉を聞くだけで脂汗が止まらなくなる程で、全て家族に丸投げしていたのです。
これから就活を行い社会人となれば、基本的には全て会社がやってくれるので、知識は必要ありません。
知っていても、特に良いことがあるわけではありませんが、お金をとられてると錯覚して理不尽に怒ることはなくなるので、この機会に勉強しておきましょう。
今回の『確定申告・年末調整』は、企業の人事担当者の方にお話を伺いました。
この記事の内容
読んでいただいた後は、確定申告や年末調整に対する疑問が解消されると思いますので、最後までお付き合いください。
『確定申告』『年末調整』は年間の所得税額を確定させるもの
ただ二つは、どのような違いがあるのか、あまりピンとこない人も多いと思うので順に説明していきますね。
この2つはいずれも、年間(1月1日〜12月31日)の所得税額を確定させる手続きのことです。所得税とは個人の収入に課せられる税金のことですね。
2つの違いは後述しますが、正式な所得税額は、1年間の収入が確定した時点で初めて算出することができます。
毎月の給与から天引きされている所得税は、簡単にいうと仮で天引きしている金額であり、年収から算出した正式な所得税額と一致しないのが普通です。
つまり、『正式な所得税額』と『毎月天引きされた所得税』の合計との差額を還付(払い過ぎた税金を返金)して貰ったり、追徴(払い足りない税金を追加で支払)したりする手続きが年末調整と呼ばれるものです。
『確定申告』『年末調整』の違い
年末調整
ただ、会社で年末調整をして貰うには条件があり、その条件を満たしていない場合は、自分で確定申告を行う流れになります。
確定申告
会社に務める方なら毎月所得税が引かれている(源泉徴収されている)ので、年末に再計算して差額を合わせるだけですが、フリーランスの方は源泉徴収されていないので、自身で申告して年間の所得税を計算し、納税する必要があります。
1年を通じて同じ会社に在籍していた場合、年末調整で所得税額が確定しますので、原則、確定申告を行う必要はありません。
ただ、副業をしていて、給与以外に収入があった場合、年収が増えることになりますので、その分を確定申告で届け出なければなりません。
また、1年間で10万円を超える医療費を負担した場合も税金が還付される場合がありますので、年末調整の後、確定申告を行う必要があります。
フリーター・無職・フリーランスの確定申告
確定申告の必要なし
- 1年間給与以外の収入がなかった(給与以外の収入とは、株式の売却益や土地の譲渡による所得など)
- 1年間で受け取った給与の総額が103万円以下
- アルバイト先で、毎月の給与で所得税を徴収されなかった
この3つをすべて満たす場合、フリーターであろうと無職であろうと、確定申告を行う必要はありません。
つまり、条件を1つでも満たさなかった場合は、確定申告を行う必要があるということになります。
ただ、フリーターの場合は、アルバイト先で年末調整を行ってくれる可能性がありますので、一度確認するようにしてください。
先に確定申告を行わなくてもいい場合を説明させていただきましたが、これをベースに「する・しない」を判断していただきたいと思います。
具体的には、103万円を超える収入があったのに、毎月の給与で所得税が徴収されていなかった場合は、確定申告を行い、税金を納付する必要があります。
逆のケースとして、毎月の給与で所得税が徴収されていたのに、いざ年収を確認してみると103万円以下であった場合は、手続きをすれば税金が還付されることになりますので、確定申告を行ったほうが得だといえます。
どのように確定申告を行うのか
確定申告といえば、税務署に書類をたくさん持参して、複雑な書類を記入した上、順番待ちの時間も長いというイメージがあるかもしれません。
しかし、今は税務署に出向かなくても、インターネットで手続きすることができます。
これはe-Taxと呼ばれる仕組みで、インターネットを利用して、確定申告期間中は土日祝も含め24時間利用・提出することが可能です。
ただ、利用を開始するためには、税務署への届出やパソコンの設定が必要になりますので、それが手間だと感じる場合は、インターネットで作成した書類を郵送する方法もあります。
確定申告をしていない場合
基本的には、数年前にマイナンバー制度が導入されたことによって、税務署は「誰が、どの会社で、どれぐらいの給料を貰っているのか」を、より正確に把握できるようになりました。
ただ税務署はシビアで、追加で支払うべき税金がある場合は通知をしてきますが、還付される税金があって手続きしなかった場合は、特に通知をしてくれません。
したがって、手続きが必要であるかどうかは、自分で判断するか、事前に税務署に相談しておくべきです。
就職して初めての年末調整 準備するものとポイント
今年就職した人にとっては、年末調整がどういうものなのか、あまりイメージできないかもしれません。
もしかしたら「自ら会社に申し出なければ、して貰えない」と不安に感じている人も多いはずです。
ただ、どの企業も11月から12月にかけて、総務部から年末調整に関する案内があるはずです。特に新卒や中途採用の人については、他の社員より提出して貰う書類が多いので、必ずアプローチがあるはずです。
もし、どうしても不安である場合は「私の年末調整はどうすればよいですか?」という感じで、総務部に相談をしてみましょう。
ちなみに年末調整の前に準備しておく書類は下記の通りです。
年末調整に必要な書類
- ①前職の本年度の源泉徴収票
- ②その年に支払った生命保険料があれば、保険会社から送られてくる保険料控除証明書(ハガキ)
- ③国民健康保険・国民年金を払い込みしていたのであれば、その金額が分かるもの
特に、今の会社で年末調整をして貰おうと思えば、前職の源泉徴収票は必要となりますので、前職に連絡をして、早めに取り寄せておきましょう。
もし、年度の途中でフリーターから転職した場合、基本的には、12月に在籍している企業で年末調整を行って貰うことになります。
ただ、中途入社の人の年末調整を行う場合、前職で支払われた給与・賞与の額、徴収された税金や社会保険料の額が明らかになっている場合のみ、転職先で年末調整を行えますので、フリーター時の本年度の給与がわかる源泉徴収票をあらかじめ準備しておきましょう。
もし、手元にフリーター時の源泉徴収票がないのであれば、電話で問い合わせをして、年末調整書類の提出期限までに再発行して貰うようにしてください。
どの企業の総務部も、転職した人は年末調整の際に前職の源泉徴収票が必要であることは理解していますので、遠慮なく、問い合わせするようにしてください。
少しは確定申告や年末調整に対する理解が深まったでしょうか?
ただ、今回の説明では解決できないようなケースも稀にあるかと思います。
もし、不安が残るようであれば、会社の総務部に相談してみるか、最寄りの税務署に相談してみるなどして、少しでも確定申告や年末調整に対する不安を解消してください。